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最近の昨日今日のことは明日書くとして
2008.11.11 Tuesday
太陽がいっぱい
フランス/イタリア(1960)
監督:ルネ・クレマン 製作:ロベール・アキム 原作:パトリシア・ハイスミス 脚本:ポール・ジェゴフ、ルネ・クレマン 撮影:アンリ・ドカエ 音楽:ニーノ・ロータ 出演:アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネ マットデイモン主演でリメイクされた『リプリー』(1999)も佳作と呼べるほど完成度の高い作品だったけど、アランドロンの演じるリプリーには遠く及ばないと思う。 俳優の放つ輝きによって、作品のトーンが変わってしまっているのだと思う。 マットデイモンのそれは、可愛そうな男のサスペンス劇であるのに対して、アランドロンではギリシャ悲劇のような格調がある。 リメイクの方はその事に自覚的だったのだと思う。主人公のリプリーを薄気味の悪い男に変えているし、結末も書き換えている。 それにしても邦題がまた素晴らしいじゃないですか。 2008.11.11 Tuesday
悪い女
韓国(1998)
監督:キム・ギドク 脚本:キム・ギドク 撮影:ソ・ジョンミン 音楽:イ・ムヌィ 出演:イ・ジウン、イ・ヘウン キム・ギドクも全て観なければいけない。 映像のもつ効用を熟知しているとしか言いようのないシーン造形のうまさは、おそらく世界でも比類がないんじゃないだろうか。彼が優れた脚本家でもあることを証明していると思う。 日本で近い作家は北野武だろうか。映像のもつ詩情、行間に表される意味は明確だけど斬新である。 主人公の女二人が相手を尾行するシーケンスは、映像特許とも言える発明だと思う。 『鰐』 韓国(1996) 監督:キム・ギドク 脚本:キム・ギドク 撮影:イ・ドンサム 出演:チョ・ジェヒョン、ウ・ユンギョン、チョン・ムソン、アン・ジェホン これもまた忘れがたい名作だ。鰐とあだ名される主人公は、漢江に架かる橋の下に住む浮浪者の一人で、橋で身投げした人から生活の糧を得る。 ある日、美しい女が身を投げる。そこから、老人と女、子供との奇妙な共生が始まる。 血のつながらない人間同士の間に家族が誕生する瞬間が観られる。 『サマリア』 韓国(2004) 監督:キム・ギドク 脚本:キム・ギドク 撮影:ソン・サンジェ 編集:キム・ギドク 音楽:パク・ジウン 照明:イ・ソンファン 出演:クァク・チミン、ソ・ミンジョン、イ・オル シーンは常に前のシーンを裏切り続ける。脚本の魔術と即興的な演出が要所要所に顔を出すが、ここでも詩的な映像表現が随所に光る。 物語が進むにつれ、主人公の女がどんどん綺麗になっていく。 2008.10.31 Friday
ヴィデオドローム
カナダ(1982)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ 脚本:デヴィッド・クローネンバーグ 撮影:マーク・アーウィン 特殊メイク:リック・ベイカー 音楽:ハワード・ショア 出演:ジェームズ・ウッズ、デボラ・ハリー デヴィッド・クローネンバーグの映画は、憶えてないくらい前に『ザ・フライ』を観て、学生時代に『裸のランチ』を観たくらいだ。もちろん、その頃の私は監督の名前など気にしたことはなくて、ずっと後になってからあの作品もそうなのかという程度だった。 ヴィデオドロームは町山智浩の本を読んで知った。ずっと気になっていたんだけど、借りようと思った時には在庫がなかったり、映画史には重要な作品でも、意味不明でエキセントリックな映画なんだろうなという先入見があったので、もう一つ食指が動かなかった。 で、昨日初めて見た。面白かった。 海外から過激なポルノ映像を買い付け、国内に販売する会社で働くプロデューサーが主人公の話で、裏で電波を傍受して入手した映像から海賊版を作る仕事にも手を染める。 傍受した映像にマレーシアが発信源らしい「ビデオドローム」という番組を発見する。 女を拷問し、惨殺する過激でリアルな映像に目をつけるが、やがてその発信源がマレーシアではなく、米国のピッツバーグであることが判明する。 とてもサスペンスフルな導入だ。リングのアイデアは実はこの映画だったんじゃないのか。 現実なのか妄想なのかわからなくなってくる映像や編集も、意味不明になるぎりぎりのところで物語が語られていくため、テンションが持続していて、決して長尺な映画ではないにしても、最後まであっという間に過ぎてしまう。 2008.10.30 Thursday
ブロンドの恋
チェコスロヴァキア(1965)
監督:ミロス・フォアマン ミロスフォアマンってエリッククラプトンのような存在だった。 また、よくわからない例えで恐縮だが、ああ『アマデウス』の監督ね。で済ませてしまいがちだった。 が、先日『宮廷画家ゴヤは見た』(邦題に問題ありだが)を観て、いやいやフォアマン見過ごしてはまずいなと。 チェコ時代のフォアマンの作品が良いとは聞いていたが、観れば納得である。 面白いの一言に尽きる。32年生まれだからこの映画を撮ったのは33ってことか。若いエネルギーがあふれているようで、それでいて人間観察は鋭くて深いんだよな。20代じゃなくて良かった。何だそれ。 『アマデウス』が傑作なのは天才が天才を描いたからなんだと。考えてみれば、『カッコーの巣の上で』もファオマンなんだよな。 観ないと損する。といいたくなる良品。モノクロで88分。尺がまたいい。 2008.10.29 Wednesday
ストレンジャー・ザン・パラダイス
ジャームッシュの初期三部作は全部買いだ。ヴェンダースのようでいて、ヴェンダースよりずっと卑俗で、文学的であって哲学的ではない。
救いようのない日常をあっけらかんと笑い飛ばすようなところがあって、それはコーエン兄弟に対するファレリー兄弟の関係に似ている。 その例えもどうかと思うんだけど、内省的じゃないんだよな。たぶん。 ここで内省的といってるのは、出来事を一旦整理してそこから意味を汲み取るような作業のことを言ってるんだけど、ジャームッシュはむしろ無意味から出発しているような、それでいてちゃんと娯楽として面白いと言う稀有な監督だと思う。 しかし、これは初期の作品に当てはまることであって、『ゴーストドック』や『ブロークンフラワー』になってくると変わってくる。と思う。全部面白いんだけどね。 でも本当は私なんかがジャームッシュに対して言えるようなことはほとんどなくて、思いついたことを無反省に書いてみただけだ。 なのであとは観てもらうしかない。何だこの感想。ちなみダウンバイローからストレンジャー、パーマネントと辿るのがよろしいかと思う。 『パーマネント・バケーション』 アメリカ(1980) 監督:ジム・ジャームッシュ 原作:ジム・ジャームッシュ 脚本:ジム・ジャームッシュ 撮影:ジェームズ・A・レボヴィッツ 音楽:ジョン・ルーリー、ジム・ジャームッシュ 出演:グリス・パーカー、リーラ・ガスティル、ジョン・ルーリー 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』 アメリカ/西ドイツ(1984) 監督:ジム・ジャームッシュ 脚本:ジム・ジャームッシュ 撮影:トム・ディチロ 音楽:ジョン・ルーリー 出演:ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン 『ダウン・バイ・ロー』 アメリカ/西ドイツ(1986) 監督:ジム・ジャームッシュ 脚本:ジム・ジャームッシュ 撮影:ロビー・ミューラー 音楽:ジョン・ルーリー 出演:トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベニーニ 2008.10.28 Tuesday
ソドムの市
イタリア(1975)
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:マルキ・ド・サド 脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ、セルジオ・チッティ 撮影:トニーノ・デリ・コリ 音楽:エンニオ・モリコーネ パゾリーニの作風は好きですね。 エロさグロさや下品さが炸裂してるんだけど、製作ノートを読むとそれが単なる欲望の先鋭化なのではなくて、農民文化との出会いがあったことが解る。 たとえばドラえもんなんかだとのび太のわがままの果てにその報いを身に受ける教訓めいたオチがつくんだけど、パゾリーニではそうは行かない。 欲望がエスカレートしていくという風でもなく、人間のダークな部分が理由もなくそこにただあることが描かれる。 高橋源一郎の言葉を借りると、眼を覆いたくなるような人間の汚い部分に対して、ただ遊んでみる。 都会的な文明という検閲を施すことなく、それこそ糞尿を素手でつかむような感覚で遊んでいる。 『デカメロン』 フランス/イタリア(1970) 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:ジョヴァンニ・ボッカチオ 脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 撮影:トニーノ・デリ・コリ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:フランコ・チッティ、ニネット・ダヴォリ これもやっぱり、セックスと糞尿の饗宴とまでは行かないけど、卑猥で下品で不敬な作品。 パゾリーニの映画を私が絶対に勧めない人たちがいて、それは食事中の人とキリスト教の信者である。 敬虔な人なら最後まで観るに耐えないだろうし、それほどでもない人は背教してしまうかもしれない。 それくらいパゾリーニの映画はキリスト教に対して幼稚でそれだけに強烈なアンチテーゼとなっている。 名画を観賞しようなどとは考えず、ただただパゾリーニと一緒になって、人間の本能の一面と遊ぶことをお勧めする。 2008.10.27 Monday
ピアニスト
フランス/オーストリア(2001)
監督:ミヒャエル・ハネケ 原作:エルフリーデ・イェリネク 脚本:ミヒャエル・ハネケ 撮影:クリスチャン・ベルジェ 出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル カット毎の黒み。ワンシーンワンカット。ウィーンを舞台にしない(ハネケはオーストリアの監督)。 ハネケがあたかも事前の約束のように自分に課していた制約を取っ払うと、非常に明快な傑作が出来上がった。 そして本作でカンヌグランプリ(審査員特別賞)と女優賞、男優賞の三冠を達成した。 しかし、である。この映画はとても面白いし、役者も一流だし、切返しも多用されててより映画らしい映画だと思うんだけど、ハネケの最高傑作として挙げるのには躊躇してしまう。 この監督ちゃんと撮ればカンヌでもアカデミーでも一流監督の殿堂入りが出来るだろうにということを地でやったみたいな感じがね、あるんですよね。最も油の乗った絶頂期にベストアルバムを出したみたいなね。 やっぱり、ファニーゲームやベニーズビデオ観た時の衝撃はなかった気がするな。十分衝撃的な内容ではあるけれど。 ハネケのフィルモグラフィが逆の順序だったとしたら、ベニーズビデオや、ファニーゲームでパルムドールでも取れてたんじゃないかと思いますね。それでも傑作には違いないです。 2008.10.24 Friday
パリ、テキサス
西ドイツ/フランス(1984)
監督:ヴィム・ヴェンダース 脚本:サム・シェパード、L・M・キット・カーソン 撮影:ロビー・ミューラー 音楽:ライ・クーダー 出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー ヴェンダースの映画で一番好きなものをあげろといわれたら、迷わず『ベルリン・天使の詩』を挙げるんだけど、一番のお勧めはと聞かれたらこの映画を挙げるかもしれない。あるいは人によっては『ハメット』を勧める。 私だけかもしれないけど、ヴェンダースの映画は結末が思い出せない映画が多い。あれってどんな話だっけと考えたときに、大抵結末を思い浮かべるんだけど、思い出せない。 それは多分、ヴェンダースの映画の多くはエンドマークがないというか、明確な着地点が設定されていない。それがロードムービーというものなのかもしれないけど。 でも、この映画は珍しく結末をラストカットまで覚えている。ただし、結末に向けて話が展開しているのかというとそう単純な話でもないらしく、製作ノートを読むと途中で製作費がなくなって撮影が中断しかけたという事情があるらしく、それが少なからず影響しているのかもしれないというのは邪推だろうか。 着地するのである。 イージーライダーもそういえば結末をはっきりと記憶しているロードムービーだ。全く違う話だけど、終わり方は似ているかもしれない。 はい、おしまい。ってかんじで結末が唐突に語られて、終わったあとすんなり席を立てるようなとても親切なつくりになっている。 それではあの結末は不要かというとあっても別段差し支えないのである。 この映画を傑作たらしめているシーンは中盤までにこれでもかというくらいに描かれているのである。 したがってこの映画は文句なく傑作なのである。 2008.10.24 Friday
2001年宇宙の旅
アメリカ/イギリス(1968)
監督:スタンリー・キューブリック 製作:スタンリー・キューブリック 原作:アーサー・C・クラーク 脚本:スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク 撮影:ジェフリー・アンスワース、ジョン・オルコット 特撮:ダグラス・トランブル 編集:レイ・ラヴジョイ 出演:ケア・デュリア あまり大きな声ではいえないが、最近になってはじめてみた。子供の頃に観たことがあると思ってたので後回しにしてたんだけど、観てみて驚いた。初見である。少なくともストーリーは初めて知った。 まだ保育所に通ってたくらいの頃、家にはジャポニカの百科事典があって、たしかその付録だった気がするんだけど、宇宙の巻があった。 スペースコロニーのような未来の宇宙開発の予想図が載っていて、子供の頃夢中で眺めては空想してた。 まさにそのときの記憶がよみがえって来て、宇宙っていいなあ、これが俺のSFなんだよなあとか想いながら観てた。 今から考えれば、その頃の宇宙感というかSFのイメージは当時のSF映画によって形作られたものだったろう。 現在進行形のSFの最先端がどうなっているのか知らないからかもしれないけど、全く古いなんて感じなかった。展示用のモデルルームみたいなセットのシーンもあったけど、フィクションが立ち上がってしまえば、そんなのは味であって欠点ではない。 宇宙の無重力感、宇宙空間の孤独、原題のオデッセイで表明されている漂流と帰還の物語が映像によって見事に表現されている。セリフで展開するのはHAL9000との対決の件くらいで、ちなみにホメロスのオデュッセイアには、オデュッセウスと一つ目のキュクロープスとの対決がある。映画の芸術にして傑作というほかない。 デジタルリマスターによるDVD映像は十分に綺麗に再現されていると想う。 2008.10.15 Wednesday
ミツバチのささやき
スペイン(1973)
原案・監督:ヴィクトル・エリセ 脚本:アンヘル・フェルナンデス=サントス、ヴィクトル・エリセ 撮影:ルイス・クアドラド 出演:アナ・トレント 傑作と呼ぶにはささやかな物語かもしれないけれど、私はこの映画を傑作に数えずにいられない。深い陰影によって立体が強調されたようなライティングや影の中に対照的に配された色彩によって作られる画角は、ベラスケスの絵画を思い浮かべた。 屋外の風景をフィックスで映したショットも空間の捕らえ方が独特なのだと思う。直接記憶に働きかけるような印象的でとても美しい映像だった。 廃墟のような寂れた村。集会場のような建物で『フランケンシュタイン』が上映される。フランケンシュタインが少女の死体を抱えながら、悲しげにあたりを彷徨うシーンが映し出される。 フランケンシュタインを探して、主人公の幼い少女アナは村の外れへ出掛けていく。 amazonを見ると11月の下旬にDVDボックスが発売されるそうだ。もう一つの傑作『エル・スール』も入っている。こちらも素晴らしい作品です。 『エル・スール』 スペイン/フランス(1982) 音楽・脚本・監督:ヴィクトル・エリセ 製作:エリアス・ケレヘタ 原作:アデライーダ・ガルシア・モラレス 撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ 出演:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン、オーロール・クレマン |