CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
SPONSORED LINKS
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES
ついった
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

最近の昨日

今日のことは明日書くとして
<< 2001年宇宙の旅 | main | パリ、テキサス >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |
マンション
マンションに一組の入居者が入った。
髪の毛を耳の周りでに綺麗に刈り込んだ青白い顔をした男で、同じくらいの年頃の女が一緒だった。
マンションは分譲向けに建てられた立派なものだった。
天井は高く、壁は丈夫だった。
フローリングの床は飛び跳ねても靴下のすれる音しかしなかった。
室内は静かで堂々としていた。
ベランダの長いカーテンを開けるまで、外の天気に気がつかないほどだった。
近々完成するはずだった鉄道の敷設が頓挫してしまい交通は不便だった。
買物はシャトルバスで私鉄のターミナルまで出掛けねばならなかった。
それでも、二人にとっては申し分のない物件だった。

女は休みの日の朝にほんの一時間ほど楽器を弾いた。
弦が何本も張ってある古い楽器だった。
ひざに抱えて嬰児の背中をたたくように優しく爪弾いた。
家具の少ないリビングは心地よい反響を響かせた。
女が奏でる淡い音色で男は眼を覚ました。
男はテーブルに腰掛け、分厚い教典を一ページめくった。
霊能者が冥界から死者の霊を誘い出していた。
遠い異国の地で果てた戦士の霊だった。
犠牲の動物から流された血を啜るとこの世に生きていた頃の記憶を取り戻した。
犠牲の牡山羊は戦士の妻が用意した。
死者は泣きながら妻に別れを告げた。
口の端には血を滴らせていた。
男は栞をはさんで教典を閉じた。
リビングで女と一緒に朝食を取りながら男は女にこういった。

会社でメールをスキャンした。
専務が開発部のみんなに当てたメールだ。
メールにはアンケートが添付されていた。
ウィルスは検出されなかった。
くだらないアンケートだった。
すぐに返信した。
僕は不安になった。
専務が首をくくるんじゃないかと心配した。
それよりも気がかりなのはみんながそれを望んだかも知れないってことだ。
くだらないアンケートだった。
すぐに返信した。
僕のメールもスキャンすればいい。
僕も首をくくるかもしれない。
ところで僕のロープはどこに引っ掛ければいいんだ?

何なのそれと女が聞いた。
詩だと男が答えた。
どこがどんな風に詩なのと女が聞いた。
改行が多いところだと男が答えた。
改行してたの?
全部改行してある。
女は笑った。
男も笑った。
| 昨日の作文 | 12:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 12:18 | - | - | pookmark |









http://marceau.jugem.jp/trackback/115