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寡黙な男の話
寡黙な男がいた。
男は出向先で土木建築機械の受発注システムを開発する仕事に携わっていた。
一人の上司と一人の同僚と五人の部下が一緒だった。
セキュリティ対策のため作業用のパソコンは全て出向先の会社が用意した。
客先の総務の女が作業場所のパーティションや作業用のパソコンを管理していた。
小柄で品のある女だった。
知性を帯びた声でいつもはきはきとしたしゃべり方をしていた。
すれ違うときには必ず気持ちの良い挨拶をした。
女はたびたび男のいる部署に出入りした。
あるときは発行されたメールアカウントを知らせに来た。
あるときは提供されたパソコンの型番などをメモに取っていた。
あるときは誰だかの旅行土産をお裾分けにやってきた。
女は用事を済ませた後もよく何か言いそびれたようにして立ち去った。
時には一言二言話しかけることもあった。
普段は口数の少ない男もその女に対しては気の利いたことを返すように心がけていた。
男はその口数ほどには女に対する熱情は少なくなかったのだ。
そうやって三カ月が過ぎようとしていた。
あるとき、たまたま帰りのエレベータが一緒になることがあった。
お疲れ様ですと女は相変わらず元気の良い挨拶をした。
男はお疲れ様ですとだけ答えてしばらくあれこれと考えた。
エレベータは七階に着いた。
女に促されるまま男は先に乗った。
女が乗りドアが閉まると男は聞いた。
「一階で?」
「はい、お願いします。」
エレベータが動き出した。
男は思い切って尋ねてみることにした。
「最近出たシンディーローパーのベストアルバムって何てタイトルだっけ。」
「え?」
「シンディーローパーのベストアルバムだよ。知らない?」
「ええ。」
「何とかベストって名前なんだけど、超だったか、スペシャルだったか、なんかそんなたいそうなのが頭につくんだけど。」
「え、なんだろう。」
「超のさらに上って何だっけ?」
「究極かな。」
「それだ!究極ベスト。ありがとう。すっきりした。」
男は必死だった。
幸い女の反応はまずまずのようだった。
エレベータは途中でどの階にも止まらず一階に着いた。
男は三角が背中合わせになったボタンを押しながら話を続けた。
「今日少し時間ある?」
女はエレベータを降りて男を待った。
「十時に人と会う事になってるんだけど、それまでまだ時間あるし一緒に食事でもどう?」
女はあまり間をおかずに答えた。
「いいですよ。」
よし決まり。これで行こう。
男がそう決心した時、エレベータが七階に到着した。
扉が開くと女がそそくさと中に入った。
男も女に続いてエレベータに乗った。
やや遅れて同僚があわてて乗り込んできた。
ありきたりな挨拶を交わした。
エレベータは途中で二回ほど止まった。
| 昨日の作文 | 13:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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