CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
SPONSORED LINKS
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES
ついった
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

最近の昨日

今日のことは明日書くとして
<< 夢に咲く花 | main | 漫喫でオランダ戦を観戦する前は >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |
ひとこま練習帳
 仕事から帰宅してマルソ君が玄関のドアに鍵をかけたとき、室内からスリッパの足音が聴こえた。マルソ君が振り向くと、リビングから蛍光灯の灯りが広がっている。続いてマルソ君の視界にその方が現れた。三和土を隔てたすぐ目の前で、その方はマルソ君を見て少しも狼狽する様子はなく、「お帰りなさい」とだけ言うと流れるようにリビングに戻って行った。マルソ君はおずおずと沓を脱いでから、靴箱の中のあるべき正確な位置にしっくりと収まるまで、手に持った沓を出したり入れたりしていた。やっと決心がついてマルソ君は台所に向かった。ガスコンロにかけた鍋からは、タマネギをゆがいた甘い香りが立ち上っている。その方はマルソ君に背を向けたまま、台所に向かい小刻みに肩を動かしている。まな板の上で肘を前後に動かしているのだが、野菜をきざむ音でないところを見ると、生の肉でも切り分けているのかもしれない。狭い台所で背を向けてしていることを正確に知るには、もっと近づいてみるしかない。マルソ君はリビングの奥にあるベランダで鳴っている洗濯機の電子音を意識の片隅で認識しながら、それでも動物園の見物客のように、その場にじっと佇んでいた。
| 昨日の日記 | 02:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 02:54 | - | - | pookmark |









トラックバック機能は終了しました。